スレート屋根とは、セメント素材を薄く平たく固めた屋根材のことで、現在でも日本の住宅で非常に多く利用されています。
スレートと呼ばれる素材は、実は大きく2種類に分けることが可能で「天然スレート」か「人工スレート」かの違いがあります。
人工スレートのなかにもさらに種類があるので詳しく解説します。
屋根全体の葺き替えや上張り、塗装など屋根をリフォームをする際の工事費用についても触れているので参考にしてください。
スレート屋根の構造
スレート屋根は、厚さ5mm程度の薄い板状の屋根材を指します。
素材はセメントを主成分とし塗膜保護が必要になる一方で、スタイリッシュなデザインと耐久性の高さで近年ニーズが高まっている屋根材です。
また、スレート屋根で使用されている棟は金属製であるため棟板金と呼ばれています。
スレート屋根は桟木が不要
スレート屋根の構造は他の屋根と比べるとほとんど変わらないですが、桟木が不要でルーフィング(防水シート)の上に直接加工できるところが大きな違いと言えます。
一般的なスレート屋根1枚の幅は約90cm、厚みは約5mm、一枚あたりの重量約3.4kgです。スレート屋根は1枚につき4ヶ所留めが基本で四隅に釘を打ち、スレート屋根の上から新しいスレート屋根を張っていきます。
スレート屋根を重ねて張ることで万が一地震などの自然災害で剥がれた場合でも下地が劣化して露出することもなく、雨漏りが起こりにくいとされています。
スレート屋根の構造で重要な部分は、合板とルーフィングです。ルーフィングの劣化は一枚だけであれば心配ありませんが、そのままにしておくと雨漏りを引き起こす可能性があるため早めの対応が必要です。
スレート屋根の寿命
▲塗膜が剥がれたスレート屋根
スレート屋根の寿命は約30年
スレート屋根の寿命は約30年ほどと言われており、スレート屋根を使用して20年以上経過している家であれば葺き替え工事や上張り工事を検討しましょう。
しかし、2004年以前に製造されたスレート屋根の場合にはアスベストが含まれている可能性が高く、その場合には費用が高くなるので注意が必要です。
点検は5年を目安に行いましょう
スレート屋根は厚さ5mmほどの薄い屋根材のため飛来物などの衝撃に弱く、衝撃が加わることでひび割れが起こりやすいのも特徴です。
また、塗膜が剥がれた箇所から侵入した雨水とその乾燥によって反りやすいことから定期的なメンテナンスは必要不可欠と言えます。
スレート屋根の種類
スレート屋根にはいくつか種類があります。それぞれの特徴を理解して、ご自身の住宅に最適な屋根材を選びましょう。
天然スレート
泥岩などが地下で固まった素材のことを粘板岩(ねんばんがん)といい、その粘板岩を薄い板状に加工した素材を「天然スレート」と呼びます。その名のとおり天然の素材なので、鉱物のような風合いで独特な模様を成しているのが特徴です。
天然スレートは耐久性に優れていて、色褪せしにくいという特徴がありますが、天然の素材を使用しているため屋根材自体の価格も高くなりがちです。
またその取り扱いの難しさゆえに施工できる職人の数も少ないため施工費用も高くなるのであまり利用されていません。このことから希少価値の高い屋根材として知られています。
化粧スレート
天然ではなくセメントを固めた人工のスレートを「化粧スレート」といいます。人工スレートの中でも天然スレートに似せているので”化粧”スレートと呼ばれています。
日本で平らな屋根をしている家屋の大半はこの化粧スレートを用いています。化粧スレートはその形状によっていくつもの種類がありますので、以下でひとつずつ解説していきましょう。
平板(へいばん)スレート
薄い板状に成形したスレートを「平板スレート」といいます。特にシェア率の高かった商品名である、カラーベスト・コロニアルなどの名称で呼ばれることも多いです。一般の住宅で非常に多く見られるのがこの平板スレートで、形状や質感も数多くの種類があり、デザインの選択肢が豊富です。
厚型スレート(セメント瓦)
「厚型スレート」は化粧スレートを瓦の形に成形して厚みをもたせたもので、セメント瓦とも呼ばれます。
本物の陶器素材の瓦よりも安価で施工できるということで一時期普及しましたが、現在はあまり利用されなくなりました。本物の瓦ほどは耐久力がないことや、平板スレートより高価ことなどが、採用されなくなってしまった理由のひとつです。
そのほかのスレート
ほかには「波型スレート」という波型の形状に成形した化粧スレートや「石綿スレート」という化粧スレートがあります。
石綿スレートの「石綿」とはアスベストのことで、人体への有害性が確認されたためこれを含む石綿スレートは現在使われていません。石綿スレートに対して現在のアスベストを含まないスレートを「無石綿スレート」と呼ぶこともあります。
スレート屋根のメリットとデメリット
近年は屋根材の中でも人気のスレート屋根ですが、前述の通り種類によって特徴や価格も異なります。
ここでは、スレート屋根のメリットとデメリットについて解説します。
スレート屋根のメリット
比較的安価で施工できる
スレート屋根は大きさや形、地域、業者によって多少は異なるものの、他の屋根材と比較すると低価格で施工ができます。一般的には、1㎡あたり5,000〜10,000円程度で施工が可能ですが、瓦屋根の場合は1㎡あたり8,000円〜15,000円程かかります。
デザイン性が高い
一口でスレート屋根といってもグラッサ、プレミアムグラッサ、グランデグラッサなど、カラーバリエーションが豊富で和洋問わず多くのデザインから選ぶことができます。
例えば、グラッサの中でもグラッサ・ブラック、グラッサ・パールグレイ、グラッサ・ココナッツブラウン、グラッサ・アイリッシュグリーンなど多数の色が用意されているため周囲の家とのバランスや自分の好みに合わせて選択できます。
軽量で地震の揺れに強い
スレート屋根は一枚あたりの重量約3.4kgであるため軽量で、一般的な瓦屋根に比べると半分程度の重さしかありません。
屋根は外壁の上に乗っているため屋根が重いほど外壁へのダメージは大きく、より軽量なスレート屋根の場合は耐震性の面で優れます。
施工できる業者が多い
屋根材のシェア率が高いことからもわかるように施工できる職人が多いため安価で施工できるのはもちろんですが、経験豊富な職人に依頼しやすいのもポイントです。
新築家屋の屋根を選ぶ際だけでなく張り替えや今後メンテナンスを行う際も施工できる業者が多いことで依頼しやすくなります。
スレート屋根のデメリット
ひび割れが起こりやすい
スレート屋根はメリットばかりではありません。他の屋根材に比べて軽量でカラーバリエーションが豊富ですが、ひび割れが起こりやすいのも特徴のひとつです。
軽くて薄い反面で丈夫さという点では瓦屋根には劣り、台風や強風が発生した場合に飛来物の衝撃が原因で割れやすくなります。スレート屋根は屋根材同士を重ねて施工されるため多少のひび割れであればすぐに雨漏りするわけではありませんが、他の屋根材と比べると破損しやすい素材です。
また、薄い屋根材のため雨水の吸い込みと乾燥を繰り返すことでの反りも発生しやすいです。こちらは下記で説明をするメンテナンス時に確認してもらうようにしてください。
定期的なメンテナンスが必要
スレート屋根は経年劣化により塗装が剥げたり、ひび割れが起こります。そのまま放置すると防水性が失われ、雨漏りの原因にもなります。スレート屋根に限った話ではありませんが定期的な点検は必要で、特に屋根材の塗装はスレート屋根を使用する際には必要不可欠です。
スレート屋根自体の耐用年数は約20年と言われるため、メンテナンス時期の目安として5年毎に専門業者に屋根の点検をしてもらうと良いでしょう。
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スレート屋根のメンテナンス時期
▲屋根材の撤去作業の風景
一般的なスレート屋根自体の寿命は20~30年で、厚型スレート(セメント瓦)の場合は30~40年が目安とされています。いずれのスレート屋根も定期的なメンテナンスをしないと屋根の劣化に気づくことができず、放置することで劣化も早まります。
メンテナンスの際の主な修繕の内容は、ひび割れの補修・屋根棟の交換・塗装・屋根自体の葺き替えなどがあります。定期メンテナンスを怠って雨漏りに発展した場合は工事費用が高額になることもあるので注意が必要です。
塗装の劣化が原因の場合のメンテナンス時期
表面の塗装が剥がれると素材のセメントが水分を吸収してもろくなってしまい、一箇所のひび割れが全体に広がって一気に劣化してしまうこともあります。
屋根の表面にコケやカビが発生した場合も塗装の劣化により防水効果がなくなっていることを示します。塗膜が劣化してから時間が経過すると、防水機能が徐々に失われ、屋根材自体が水分を含みやすくなった結果コケが生えてきます。
屋根表面の色褪せやコケの発生などの症状が現れた場合はメンテナンスが必要です。これらは目安として5~7年ごとに専門業者に点検してもらうのがよいでしょう。
棟の劣化が原因の場合のメンテナンス時期
スレート屋根の多くには屋根の頂上に棟(むね)という板金でできた部位があります。その棟に錆びが発生してしまうケースや、棟を固定しているクギが浮き上がってしまうケースがあり、これらは15年単位でのリフォームが必要です。
しかし、塗装や板金のメンテナンスを定期的に行ったとしても、屋根材自体の劣化は避けられません。屋根材の反り、欠け、ひび割れなどが発生することもありますので耐用年数を過ぎて使用している家庭では屋根のリフォームも検討してください。
スレート屋根の劣化症状
スレート屋根の耐用年数は約20年ですが、経年劣化により定期的なメンテナンスが必要です。しかし耐用年数を超えると、いずれは屋根の葺き替え工事が必要になってきます。ここでは、スレート屋根の劣化症状について解説します。
色褪せ
スレート屋根は、約5~7年程度で経年劣化により表面の塗膜が剥がれはじめ、結果として色褪せが生じます。
そのため、屋根を見た際にツヤがなくなったり、色褪せを感じたりした場合はメンテナンスの時期に近づいていると言えるでしょう。色褪せが即座に雨漏りの原因になるわけではありませんが、そのまま放置すると屋根材の劣化を早め、結果として雨漏りの原因にもなるため定期的なメンテナンスが必要です。
ひび割れ
軽量で厚みが約5mmのスレート屋根は非常に薄く、釘で固定されていても歪みなどでひび割れが生じる場合があります。スレート屋根の下には通常ルーフィングがあるため、ひび割れが生じたからといってすぐに雨漏りが発生するわけではありません。
しかし、ひび割れを放置すると隙間から雨水が浸入するようになり、雨漏りのリスクが高まります。雨漏りが発生するとスレート屋根自体も腐食が進み、早期の補修が必要になるでしょう。
コケや藻の繁殖
屋根の色褪せを放置すると防水効果が低下し、雨水を吸収します。これを放置するとカビが繁殖し、さらにコケも発生することがあります。
コケなどが繁殖すると見た目が悪くなるのはもちろんですが、耐用年数より早めの補修を行わなければなりません。そのため、コケやカビの繁殖を見つけた際はすぐに専門の業者に対処してもらうことが望ましいです。
屋根材の反りや割れ、欠け
スレート屋根表面の塗装が経年劣化すると、雨水などの水分を吸収します。水分を含んだスレート屋根は、吸収と乾燥を繰り返すことにより、反りが発生します。
また、夏場は熱による膨張の影響によって、冬はスレート屋根の凍結による膨張で反りが生じやすくなります。
破損では台風や豪雨などの天候による飛来物で軽量で薄いスレート屋根の欠けや割れが生じる場合もあります。ただし欠けや割れが数枚程度であれば、スレート屋根の部分交換で対処することもできるので大きな問題ではないでしょう。
スレート屋根の欠けや割れが多くの箇所で見られる場合は、他の場所でも屋根材自体がもろくなっている可能性があり、状態に合わせて葺き替え工事やカバー工法などを行う必要があります。
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スレート屋根の塗装
▲塗装前に高圧洗浄できれいに汚れを落とします
塗装時期は塗料によって異なる
スレート屋根の平均的な塗り替えの時期は10年前後が目安とされています。これは屋根が外壁以上に日光の影響を受けやすいためで、屋根材を守るためにも定期的な塗装は行うようにしてください。色褪せ、割れ、塗装のはがれなど屋根材の劣化症状が確認できた際はすぐにメンテナンスを行い、屋根材を劣化させないようにしましょう。
屋根は雨風や紫外線によって日々ダメージを受ける部位なので、塗装をすることで表面をカバーし、屋根材そのものの劣化を抑えています。適切な時期に塗り替えをせず、劣化したままでいると雨漏りなどが起きて、工事費が高額になることもあります。屋根塗装の寿命は、使用した塗料の種類によっても期間が異なるので、事前に業者に確認が必要です。
スレート屋根の塗装費用
屋根塗装の費用相場は、屋根の状態や使用する塗料によって差が出るため30坪あたりおよそ40~80万円で見ておくと良いでしょう。
工期については平均で10日~14日程度かかります。塗料は気温や湿度によって乾燥にかかる時間が異なるため季節や天気によって左右されますのでタイミングは依頼する職人に相談しましょう。
施工中はは住宅に足場が架設され、施工箇所によっては窓が開けられなかったりすることもあるので、季節やスケジュールも考慮して依頼するとよいでしょう。
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スレート屋根のリフォーム
メンテナンスを定期的に行っていても、素材自体の寿命がきてしまったら屋根リフォームが必要です。
屋根のリフォームを行う場合には、2つの工法があり、全体を取り換える「葺き替え(ふきかえ)」と、上から新しい屋根を被せるタイプの「カバー工法」のどちらかを選択します。それぞれのメリットや費用について説明します。
葺き替えによるリフォーム
葺き替えとは、屋根全体の素材を取り換える工法です。
塗り替えをして塗料で表面だけをカバーをしていても、30年を過ぎると屋根材自体の寿命を迎えるので、葺き替えが必要になります。
古い屋根材を撤去し、下地を補強してから新たに防水シートと、屋根材を張り直す大がかりな工事です。
古くなった屋根材をまるまる新しいものに取り換えるので状態が非常に良くなりますが、撤去費用や処分費が必要になるため工事費用の相場はおよそ90〜200万円とやや高額です。(建物の大きさや屋根材によって金額は異なります。)
カバー工法によるリフォーム
カバー工法は葺き替えとは異なり、もともとの屋根の上に新しい屋根を重ねる工法です。屋根の下地はそのまま使用するのでカバー工法のほうがやや簡易的な工事となりコストは抑えられます。
しかし、下地も当然多少の劣化はしているので、あとから修繕が必要になる可能性もあります。また、屋根材を重ねることで屋根の総重量が増してしまうので、耐震性が低下する点は押さえておきましょう。
工事費用の相場はおよそ80~120万円で、もとの素材を撤去する作業がなくなる分、葺き替えよりは安価の場合が多いです。ただし、建物の大きさや状態により金額は大きく異なりますので、事前によく確認してください。
カバー工法は、アスベストを含んだ屋根のリフォーム時にも最適です。アスベストを含む石綿スレートを葺き替えの工法で一度撤去する場合、廃棄には高額な費用がかかります。そのため、アスベスト製品は埋め込んでしまう形で上から被せるカバー工法が重宝されます。
アスベストを含むスレート屋根の見分け方
アスベストと聞くと、中皮腫など健康被害を及ぼすイメージが強いのではないでしょうか。そもそもアスベストとは、天然の鉱物繊維の総称を指します。このアスベストを含むスレート屋根の見分け方として、日本の規制と不具合状況からわかる場合があります。
法規制から見分ける
日本でのアスベストの規制は、法律施行日を見ると目安がわかります。
2004年労働安全衛生法施行令改正により、代替が困難なものを除くすべてのアスベスト製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。
しかし、クリソタイル(白石綿)は認められていました。
そのため、家を建てたのが2004年以降で粘土瓦と金属屋根材を使用している場合は屋根材にアスベストが含まれていません。
その一方で、2004年以前のスレートなどの屋根材はアスベストが含有されている可能性があります。アスベストは発じんの度合いによって、レベル1~3に分類されます。しかし、2006年には労働安全衛生法施行令改正により、全面的にアスベストの使用が禁止されました。
不具合状況から見分ける
もうひとつは、不具合状況からアスベストを含むスレート屋根の見分け方です。アスベストを含むスレート屋根は含んでいないスレート屋根よりも丈夫でしっかりしてるため、不具合が生じにくいのが特徴です。
一方で、アスベストが含まれていないスレート屋根はひび割れや欠け、剥がれが生じやすくなります。目視で確認することができない場合は、専門の業者に確認してもらいましょう。
スレート屋根は軽量で安価だがメンテナンスは必要
スレート屋根を採用した場合約5年~7年を目安に定期点検、約10年を目安に塗り替え、約15年を目安に棟の交換、約30年を目安に屋根材自体の全体交換、と時期と内容を把握しておくとよいでしょう。
スレート屋根に限らずほかの素材でもメンテナンスは必要ですが、スレート屋根の点検・リフォームの特徴は、1回あたりの工事費用が比較的安いこと。素材の流通も多いので扱っている業者も多く、施工経験が豊富なのは安心できるポイントです。
スレート屋根について解説してきましたが、詳しい知識があるのはやはり屋根の専門業者です。まずはお住まいの近くの信頼できる業者に相談をするとよいでしょう。屋根だけでなく住宅全体の状態を確認してもらい、自宅に最適なプランを選ぶことでさらに金額を抑えることもできます。
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