日本には和風や洋風、モダンなどさまざまなタイプの住宅があるので、それに伴って屋根の形もさまざまです。この記事ではそれぞれの屋根の名称や屋根がもつ特徴、魅力を紹介していきます。
屋根のリフォームや修理を行う際には屋根の種類によって費用が異なります。初期費用のみならず、メンテナンス性も考えて賢くリフォームを行いましょう。
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人気な屋根の形8種類の特徴を紹介
▲意匠性の高いデザイン同士を組み合わせた屋根も
日本の家屋に使用される代表的な屋根の形は大きく8種類あります。いずれもその形状や性能によってメリットとデメリットがあるので、リフォーム前に特徴を把握しておくことは重要です。
切妻(きりづま)屋根の特徴
切妻屋根は非常にスタンダードな形状の屋根です。きれいに二つ折りしたようなデザインが特徴で、日本でも多くの家屋で採用されています。
最大のメリットは性能で、「雨水を排水しやすい」点でしょう。屋根全体が傾斜になっているので、雨水が一カ所にとどまりません。雨が降ってもある程度の量がたまってしまう前に、下へと流れていく仕組みになっているため雨水による劣化が起きにくい屋根と言えます。
一方、デメリットは「無個性」である点が挙げられます。そもそも、切妻屋根はは多くの一般的なデザインの家に用いられているので、他の住宅と差別化が図りにくいデザインと言えます。住宅街では、ほかの住宅に埋もれやすいでしょう。
また、デザイン性の低い形状であるため、手を加えることが難しい屋根なので、いわゆる「デザイン住宅」に住みたいのであれば不向きな屋根です。
片流れ屋根の特徴
片流れ屋根は大きな平面が斜めに傾いているタイプの屋根です。日本家屋よりも西洋家屋に多い形状です。片流れ屋根の魅力は、スマートなビジュアルとされており、シンプルな構造なので建築の手間があまりかかりません。その結果、優れた見た目にもかかわらず、低価格で取引されています。最近ではパラペットを3方向に設置して見た目も工夫した家が増えています。
ただし、排水のために屋根勾配が必要になる点はデメリットです。屋根に勾配をつけてしまうことで、「アンテナ工事が大変」「その下のスペースを活用しにくい」といった問題が発生してしまいます。そのため生活における実用性はそれほど高くないと言えるでしょう。
寄棟屋根の特徴
寄棟屋根は勾配がある4つの面が組み合わさってできている屋根です。最上部に地上と水平になる大棟と呼ばれる部分があり、大棟に対して勾配がある4面を隅棟と呼びます。屋根自体の安定感があり、デザイン性も決して低くはありません。和洋関係なく、世界中で人気のある形の屋根です。
寄棟屋根がもつ最大のメリットは、どの方向からも日差しと雨を防げる点にあります。どの部屋で過ごしていても、変わらない快適性を保つことが可能です。また、屋根を4面から支えていることから高い耐風性を誇り、台風の多い日本ではおすすめの形状です。
ただし、4面になることで屋根の面積が増え、メンテナンス費用がかかりやすい点はデメリットです。また、太陽光パネルの設置数にも制限があります。今後、太陽光発電の導入を考えているのであれば十分なエネルギーを賄えるのかは事前に確認しておくことが大事です。
方形(ほうぎょう)屋根の特徴
方形屋根はピラミッドのような形で頂点の棟がない屋根です。上空から見下ろすと正方形に見えるのが特徴で、形のバランスも良く、全体的に安定感があります。
屋根の水はけもよいので、比較的人気のあるデザインだと言えるでしょう。日本では古くからお寺などの建造物でも取り入れられてきた形状の屋根です。
その一方で、棟が集まった中心点の「かき合い」がないのはデメリットです。決して耐久力が高いわけではなく、わずかな衝撃で揺らいでしまいかねません。耐震性を考えると、あまり優れているとは言えません。また、屋根の一面が三角形であるため、太陽光パネルの設置は困難です。
入母屋(いりもや)屋根の特徴
入母屋屋根は切妻式の屋根と寄棟式の屋根を組み合わせたようなデザインの屋根です。大型のひさしが四周にあり、独特のフォルムであることがわかると思います。和風住宅にマッチする屋根として、日本では古くから愛されてきました。日本瓦葺きの屋根との相性は抜群です。
メリットは通気性、耐風性がしっかりと確保できている点でしょう。
デメリットは、構造が複雑でありそれほど頑丈ではない点です。複雑かつ日本瓦の重量も影響して台風や地震といった災害にはあまり強くありません。そのうえ、防水上の懸念点がいくつかあり、他の屋根に比べて雨漏りの危険性が高い点も挙げられます。水はけもそれほど良くなく、大雨が多い地域では慎重に選ぶ必要があります。
陸屋根(ろくやね)の特徴
陸屋根は”りく”ではなく”ろく”と読み、屋根に勾配がほとんどない平面状の屋根を指します。平らなデザインが陸のように見えるため、この名がつきました。そのため家を正面から見たときに、家全体が大きな立方体に見えます。
メリットは、平らな屋根を屋上スペースとして利用できることです。洗濯物を干したり、子供と遊んだりするのに最適です。また、屋上を庭の代わりにしてガーデニングを楽しむのも良いでしょう。積雪地帯では、屋根が平面であるため落雪の心配がなく、雪かきをほとんど行わなくて済むことから、フラットルーフ式無落雪屋根とも呼ばれます。
デメリットは、屋根に傾斜がないため水はけがよくありません。排水ができるように勾配をつけますが、水がたまり続けることで屋根の耐久性が落ち、雨漏りの危険があります。また、太陽光パネルの設置には角度をつける追加工事が必要です。
招き屋根の特徴
招き屋根は切妻屋根と片流れ屋根の特徴を併せもった屋根です。差し掛け屋根の一種で、切妻屋根の片側が長く、もう片側が短いものを招き屋根といいます。
その形状が、「おいでおいで」と手招きしているようなので、この名前で呼ばれています。新築時、家のデザインに個性を加えたいときにおすすめの屋根です。
招き屋根は耐風性に優れており、耐久性は高いと言えます。日本は台風の多い国だけに、安全策としてもおすすめです。
デメリットは、複雑な形のため、屋根と屋根がぶつかる境界線に雨が溜まりやすいことです。その結果、しっかりとメンテナンスを行わなければ瓦や下地を痛めやすい屋根なので定期的に点検を行い、早い段階からメンテナンスを検討することが求められます。
はかま腰屋根の特徴
はかま腰屋根は切妻屋根をベースにしながら、頂上までの間に、寄棟屋根のような屋根面が取り付けられた屋根をはかま腰屋根といいます。人間がはかまを履いているように見えることから、こう呼ばれるようになりました。道路斜線制限や、建築基準法の高さ制限に対策できる点はメリットと言えるでしょう。また、洋風の建物に似合う建築方法としても知られています。
デメリットは、複雑な形状であるために切妻屋根よりも雨漏りリスクが高いことです。そのため、定期的なメンテナンス費用はしっかり想定しておくべきでしょう。
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形状変更のリフォームでかかる費用相場
▲屋根のリフォームは家が与える印象が大きく変わります
屋根の形を変更するリフォームの費用相場 は約300万〜600万円です。屋根の形状、作業内容がはっきりと分かれば、予算の幅をさらに絞り込めます。
切妻屋根への変更 | 約400万円〜500万円 |
寄棟屋根への変更 | 約500万円〜600万円 |
片流れ屋根への変更 | 約300万円〜500万円 |
陸屋根への変更 | 約300万円〜450万円 |
屋根リフォームでは屋根の形状を変えずに勾配を調整するという方法もあります。屋根の勾配を変更するには約200万円〜600万円の費用がかかります。急勾配の屋根に変更する場合も同様です。
また、屋根のリフォームでは、屋根の形状だけでなく塗装も大切です。屋根の塗料はビジュアルだけでなく、雨や日差しなどを防ぐためにも重要な要素です。定期的に屋根を塗り替えないと、屋根材の強度は下がってしまいます。
屋根塗装の相場は、屋根の種類や大きさにも左右されますが約25万円~40万円です。また、塗料の種類によっても費用が変わります。以下に1缶あたりの塗料代の相場を掲示しますので参考にしてください。
素材 | 耐用年数 | 価格 |
アクリル | 約3年未満 | 5,000~10,000円 |
ウレタン | 約3~5年 | 5,000~15,000円 |
シリコン | 約5~8年 | 15,000~40,000円 |
フッ素 | 約7~10年 | 40,000~80,000円 |
無機 | 約10~15年 | 50,000~120,000円 |
光触媒 | 約10~15年 | 50,000~100,000円 |
住宅を建てるうえで、屋根の選択は非常に重要です。また、リフォームで屋根の形を変更することも考えられます。
例えば、和風の住宅からを洋風の住宅に改築するのであれば、屋根がそのままだと違和感が残ってしまうかもしれません。家に適した屋根を手に入れるためには、形状ごとの特徴をしっかり把握して伝えなくてはいけません。また、それぞれにかかってくる費用も把握しておくことが大切です。いざ工事が始まってから、「思っていたよりも費用がかかってしまった」と驚かないように、あらかじめ自分でも調べておきましょう。
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