
住宅の屋根は、24時間365日紫外線や雨風、ホコリなどの影響を受けているため、外壁と比較しても劣化が大きく、定期的なメンテナンスやリフォームが必要です。
この記事は屋根のリフォームを考えている方に向けて、屋根リフォームの方法や使用する屋根材の特徴、かかる費用などをまとめています。屋根のリフォームで後悔したくない方は、ぜひこの記事を最後まで読んで参考にしてください。
屋根のリフォームの代表的な3種類
▲屋根の修理は高所作業になるのでプロにお任せください
住宅や店舗の屋根をリフォームする際、代表的な選択肢として3つの手法があります。
1つ目は「葺き替え」。屋根の葺き替えは、現状設置されている屋根材を一度撤去して、新しい屋根材を設置するリフォーム方法です。
2つ目は「重ね葺き(カバー工法)」。屋根の重ね葺きは、既存の屋根材を撤去せずに、上から新しい屋根材を敷設する方法です。
3つ目は「塗装工事」。屋根の塗装は、リフォームやメンテナンスの一環として行うもので、屋根材を新しくするのではなく、塗料によって防水性などの機能を復活させます。
屋根の葺き替えとは
▲葺き替え工事では一度屋根材撤去します
この項目では、屋根リフォームの代表的な方法である屋根の葺き替えについて、メリット・デメリットを解説します。
葺き替え工事を検討している方は、しっかりと目を通しておきましょう。
葺き替えのメリット・デメリット
葺き替えを行う最大のメリットは、屋根材の下に敷設された防水シートまで交換することで屋根そのものが新品になるため、建物自体の寿命を大きく伸ばせることです。
そのため、費用や工期の部分では、3つの手法の中で最もかかります。
とはいえ、建物自体の寿命を伸ばせるため、長期的に見るとコストパフォーマンスに優れ、安心して住むことが出来ます。
加えて、屋根材を新しいものに替えて軽量化をすれば地震にも強くなり、家全体のイメージチェンジにもつながります。
一度を屋根を撤去しているため普段はメンテンナンスの難しい屋根の下地なども目視で確認ができることは大きなメリットです。
一方、デメリットとして、リフォームの選択肢の中では施工費用が高いこと、撤去した際に廃材が発生することなどが挙げられます。
葺き替えの工程と費用相場
ここではまず、屋根の葺き替え工事を行う際の工程を紹介します。
ここで紹介するのは一般的な工程なため、具体的な手順については業者によって多少異なることがあります。
費用にも関わるので、作業内訳が気になる方は、施工前に依頼した業者に尋ねましょう。
(1)足場設置作業
屋根のリフォーム工事は高所作業なため、安全確保のために足場が設置されます。
足場は高所作業時に設置を義務付けられています。
>三和ペイントの足場設置作業について詳しく知りたい方はこちら
(2)既存の屋根材撤去作業
既存の屋根材だけでなく、屋根材の下にある防水シートまで撤去します。
防水シートまで撤去を行うため施工期間中は天気の影響を大きく受けるため注意が必要です。
(3)野地板(のじいた)の設置
野地板とは屋根材を置くために敷く板です。古くからある杉板や、野地合板、野地耐火合板の3種類が存在します。
(4)防水シートの設置
雨漏りなどを防ぐために防水シートを設置します。防水シートはルーフィングともいい、アスファルトルーフィングや改質ゴムアスファルトルーフィングなどの種類があります。
防水シートを張り替えることで今まで負っていたダメージをリセットできるほか、屋根の状態を細かく把握できる点もメリットです。
防水シートがない状態で雨が降らないようにここまでの作業は素早く行います。
(5)新しい屋根材の設置
新しい屋根材を設置します。屋根材は瓦から瓦というように同じ素材を使うこともできますが、瓦からスレートやガルバリウム鋼板など、材質を変更することも可能です。それぞれの屋根材にメリットがあるので、業者と相談して予算や求める機能に合う材料を選びましょう。
屋根材が既存のものよりも重くなる場合には要注意で、建物が重さに耐えられる構造になっているかを確認してから作業を行います。
(6)足場の解体
屋根材の葺き替えが終わったら足場を撤去して現場を片付け、作業終了です。
次に、葺き替えにかかる費用の相場を、表で紹介します。
なお、ここで示すのは、防水シートや足場代も含む工事一式の費用です。
また、金額はあくまでも目安で、使用する材料や現場の状況によって変化します。
・屋根の葺き替え費用目安
屋根リフォームの内容 | 工事一式の目安 |
瓦 → 瓦 | 100~266万円 |
瓦 → スレート | 70~200万円 |
瓦 → ガルバリウム鋼板 | 80~210万円 |
スレート → スレート | 70~200万円 |
スレート → ガルバリウム鋼板 | 90~200万円 |
セメント瓦 → 瓦 | 100~250万円 |
セメント瓦 → スレート | 98~260万円 |
セメント瓦 → ガルバリウム鋼板 | 80~200万円 |
上記を踏まえると、屋根の葺き替えリフォーム一式の費用は、70~250万円程度が相場です。
屋根材によって発生する費用の違いは、次の項目で詳しく解説します。
使用する屋根材で異なる費用相場
▲居住環境やイメージに合わせて屋根材をご提案
屋根に使用する材料は、それぞれに特徴があります。
この項目では、メジャーな屋根材の特徴と、葺き替え工事に必要な費用の相場を解説します。
ガルバリウム鋼板に葺き替える場合
「ガルバリウム」は、アルミニウムと亜鉛とシリコンの合金です。
アルミニウムの耐食性(サビに耐える性質)と亜鉛の防食作用(サビにくさ)を持っています。
屋根材として使用する「ガルバリウム鋼板」は、鉄をガルバリウムでメッキしたものです。
一般には、断熱材入りの成型ガルバリウム鋼板が用いられます。
2016年からは、メッキ方法を改良した「SGL(超高耐久ガルバリウム)」も販売されています。
ガルバリウム鋼板が持つ最大のメリットはサビに強く、屋外で使用しても長期の耐久性を持っていることです。
加えて、ほかの屋根材より薄いにも関わらず強度はしっかり備えているため、家全体の重量を軽くできて且つ地震に強いという特徴もあります。
また、加工や着色のしやすさからデザイン性が高く、耐熱性に優れる点も魅力です。
デメリットとして、ほかの屋根材より防音性がやや低い点が挙げられます。
また、水たまりができると劣化は早まる傾向にあるため、勾配のない屋根には向かないことなどがあります。
平米当たりの施工費用は6,000~9,000円程度で、耐用年数は30年程度です。
ジンカリウム鋼板(天然石粒付き屋根)に葺き替える場合
「ジンカリウム」はアルミニウムと亜鉛、シリコンの合金で、成分としてはガルバリウムと大差ありません。
日本では天然石の粒をコーティングした、「ジンカリウム鋼板」が屋根材として多く出回っています。
ガルバリウム鋼板のように耐久性や耐震性、防火性が高いうえに、石粒のコーティングによって断熱性や防音性も高まっています。
平米当たりの施工費用は8,500~22,000円とガルバリウムガルバリウム鋼板より高価な点や、表面の石粒が少しずつ剥がれて、雨どいに溜まることがある点などは、明確なデメリットです。
ルーガに葺き替える場合
「ルーガ」とは瓦屋根の一種で、ケイミュー株式会社が販売している商品の名称です。
見た目は瓦と区別が付きませんが、瓦より割れにくく重量も半分程度しかないので、瓦の見た目を持ちつつ、デメリットを改善した屋根材と考えてよいでしょう。
製造方法としては、セメントに特殊な繊維を混ぜ込み気泡を作っています。
平米当たりの施工費用は、7,800円程度を見込んでおきましょう。
トタン(瓦棒)に葺き替える場合
「トタン」は鉄に亜鉛メッキを施したもので、屋根材として安いこと、軽いことなどのメリットがあります。
平米当たりの施工費用単価は4,000~10,000円と底値の安さが魅力です。
しかし、素材の軽さに比例して耐久性が低いことから、近年は金属材料であればガルバリウム鋼板を使用することが多いです。
コロニアル(スレート瓦)に葺き替える場合
「コロニアル」とは、ケイミュー株式会社が販売しているスレート瓦の商品名なのですが、市場シェアが大きかったことから、スレート瓦のことをコロニアルと呼ぶことが多くなりました。
ここでも、コロニアルという名称を使います。
コロニアルのメリットは、価格が安くデザインも豊富、軽量で耐震性が高いこと。
そして普及率自体が高いので、扱っている業者も多いです。
一方、デメリットは、ほかの屋根材よりひび割れが起こりやすいこと、素材自体には防水性がないため、定期的に塗装を行う必要があること、などです。
平米当たりの施工費用は、7,800〜17,300円程度です。
アスファルトシングルに葺き替える場合
「アスファルトシングル」とは、グラスファイバーにアスファルトを浸み込ませ、砂粒を表面に施したシート状の屋根材です。
アメリカでは住宅の8割以上に使用されていますが、日本ではそれほど広まっていません。
シート状なため施工性がよく、防水性や防音性も優れています。
デメリットとしては、強風で剥がれてしまうケースがあること、勾配の小さい屋根には向かないこと、表面の砂粒が少しずつ剥がれることなどがあります。
平米当たりの施工費用単価は、5,000〜6,500円程度と安さでも利点があります。
陶器瓦に葺き替える場合
「陶器瓦」は一般的な瓦(粘土瓦)の成形後に、色合いやツヤを強調するための釉薬(ゆうやく)を塗って作ったものです。
和風の家に非常に合う意匠性の高さと耐久性が魅力で、瓦自体はメンテナンスを必要としないと言われています。
(屋根全体で見ると、漆喰や防水シートのメンテナンスは必要です。)
一方、重量があるので耐震の面では良いとはいえず、単価が高いことから施工費用は高額になりがちです。
費用面ではメンテナンスをあまり必要としないことを踏まえて、ほかの素材と比べましょう。
平米当たりの施工費用単価は5,500〜16,000円程度です。
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屋根重ね葺き工事(カバー工法)の費用相場
ここからは、重ね葺き工事(カバー工法)の特徴、メリット・デメリット、費用の相場などを解説します。
住まいの重ね葺き工事(カバー工法)を検討している方は、しっかりと確認してください。
屋根重ね葺き工事(カバー工法)のメリット・デメリット
重ね葺きのメリットは、既存の屋根材を撤去しないため、葺き替えより費用も工期も掛からない点です。
また、屋根材が二重になるので断熱性や防音性が高まること、撤去工事をしないのでホコリや騒音が少ないなどの利点もあります。
既設の屋根にアスベストが使用されている場合、撤去すると大きな費用が発生しますが、重ね葺きならその心配はありません。
ただし、既存の屋根が大きなダメージを受けている場合は施工できません。
また、材料によっては重ね葺き工事が選択できない(瓦などの重い材料には向かない)、材料によっては屋根が重くなるため耐震性の面で不利になります。
加えて、雨漏りなどが起こったときに、原因の特定が通常よりも困難になるというデメリットもあります。
費用相場
屋根の重ね葺き工事では、足場の設置、既存の屋根の洗浄作業、養生作業、防水シートの敷設、新しい屋根材の設置、新しい棟板金などで雨仕舞をする作業、が必要です。
費用は、施工面積や材料、現場の状況にもよりますが、工事一式で80~140万円程度が相場です。
屋根の塗装工事の費用相場
▲塗装のプロが丁寧に施工いたします
ここからは、塗装工事を行う際のメリット・デメリット、特徴やかかる費用などを解説します。
屋根のリフォームの中では比較的気軽に行える工事ですが、デメリットもあるので目を通しておきましょう。
屋根の塗装工事のメリット・デメリット
塗装工事のメリットは、葺き替えや重ね葺きより工事が短期間で終わり、費用が少なくて済む点です。
塗装だけなので形状は変わりませんが、色を変えて家のイメージを一新することもできます。
塗装は防水性を上げるだけでなく、塗料によっては断熱効果や遮熱効果を改善できます。
また、高性能な塗料の中には汚れが付きにくいものや、セルフクリーニング機能を持つものもあります。
ただし、屋根材の性質や状態によっては、塗装が有効でない場合もあるので注意してください。
ほかにも、定期的な塗り替えが必要となりますが、これは屋根材を守るためには仕方がありません。
どのような工事をするのが良いか、いつ工事をするのが良いかはなかなか判断が難しいためプロの目で確認することをおすすめしています。
三和ペイントでは外壁のプロが無料で隅々まで点検いたしますのでお気軽にお問い合わせください。
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費用相場
ここでは屋根の塗装工事費用の相場を、塗料別に表で紹介します。
なお、費用や耐用年数はメーカーや商品によって異なります。
また、現場の状況で左右されることもあるため、各数値はあくまで目安としてください。
・塗料の種類による屋根塗装工事の相場と耐用年数
塗料の種類 | m2当たりの単価 | 30坪の住宅での相場 | 耐用年数 |
アクリル塗料 | 1,500~1,800円 | 18~21万円 | 2~3年 |
ウレタン塗料 | 1,800~2,200円 | 21~26万円 | 3~5年 |
シリコン塗料 | 2,800~3,100円 | 33~37万円 | 5~8年 |
ラジカル塗料 | 3,200~4,000円 | 38~48万円 | 5~8年 |
フッ素塗料 | 4,200~4,500円 | 50~54万円 | 7~10年 |
光触媒塗料 | 4,200~5,000円 | 50~60万円 | 7~10年 |
上記に足場や諸経費などを含めると、屋根塗装の費用相場は35~120万円程度です。
費用と耐用年数だけを考慮すると、ウレタン塗料が最もコストパフォーマンスに優れます。
ここまで説明してきたように、屋根のリフォームには、葺き替え工事、重ね葺き工事、塗装工事と3つの選択肢があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、費用や耐用年数も違うため、この記事を参照して予算や求める機能に合わせて選択してください。
また、屋根のリフォーム工事はしっかりした経験と知識がある業者でないと、材料が本来持っている機能が発揮できない場合もあります。
屋根のリフォームを行う際は、ぜひ信頼できる業者に依頼するように心がけましょう。
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