屋根の種類を比較!形や屋根材(素材)の特徴をまとめて紹介

屋根の形や素材には種類があり、住宅の構造や設計、環境によって適切なタイプが異なります。また、毎日陽の光や風雨にさらされるので、定期的なメンテナンスが必要なパーツでもあります。屋根に採用される素材の特徴と形をマスターし、住宅を長持ちさせる参考にしてください。
目次

屋根の素材や形状にはいくつか種類があり、住宅の構造体や設計方針によって適切なタイプが異なります。戸建住宅の大多数を占める木造の屋根は、水分や湿気に弱いことが特徴です。そのため、板金を含む屋根の主な役割は、屋根面や外壁の開口部から風雨の侵入を防ぐ点にあります。本記事では、屋根に採用される形の種類と各素材の特徴について解説します。住宅を長持ちさせ、リフォームするときの参考にしてください。

 

屋根の種類と特徴

屋根は住宅の構造体(鉄骨造・鉄筋コンクリート造・木造)や、設計によって適切な素材が変わります。ここでは、日本の戸建てに多い木造住宅に用いられる素材を中心に、各屋根材の特徴と価格相場、耐用年数などを解説します。

スレート屋根

スレート屋根は日本の新築戸建て住宅で最も採用されている、比較的安価な屋根材です。セメントを薄い板状に加工して製造され、厚さは5mm程度と非常に軽量、カラーやデザインのバリエーションが豊富です。住宅は屋根が軽いほど建物の重心が低くなるので、揺れによる倒壊リスクも減らせます。

施工方法は、下地材の上にスレート瓦を敷き詰め、釘や特殊な接着剤で固定します。屋根リフォームの際、業者がスレート屋根のことを「カラーベスト」や「コロニアル」と呼ぶことがありますが、これらはメーカーの商品名です。

スレート屋根は初期工事費用を安くしたい方、お気に入りのカラーを採用したい方におすすめです。メンテナンスの頻度を少なくしたい方、多少価格が高くても耐久性を重視する方は、他の屋根材も検討してみましょう。同じスレートでも天然石で作られた「天然スレート」は耐久性が高くデザインも優れていますが、価格はアップします。

・注意点
軽い分、強度が保てず、衝撃や経年劣化により、ヒビや塗膜が剥げるためメンテナンスが必要です。素材がセメントであるため、日当たりが悪く湿気の多い場所ではコケや藻が生えやすくなります。また、凍害のある寒冷地には向きません。

・価格、耐用年数の目安
スレート屋根材の価格は4,000円/㎡~(天然スレート10,000円〜/㎡)、再塗装リフォーム費用の目安は6,000円/㎡~です。素材そのものの耐用年数は25~30年ですが、メンテナンスは5年単位で点検、10~15年を目安に再塗装を検討しましょう。

陶器瓦(粘土瓦)

日本の伝統的な家屋に採用されてきた屋根材です。神社仏閣で使われているのは粘土瓦に釉薬(うわぐすり)を付けて焼いた「本瓦」で、製造に手間が掛かるため高額です。現代の一般住宅で使われているのは「陶器瓦」と呼ばれるもので、カラーバリエーションが豊富です。

瓦屋根には耐火・耐水性があり、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせます。焼き物用の粘土から作られるので音が伝わりにくく、防音にも優れています。

施工方法は、下地材の上に瓦を引っ掛ける「桟木」を釘打ちし、その上に瓦を葺いていきます。仕上げに釘や緊結線(瓦を瓦座に固定するために使用する銅線またはステンレス線)で固定して仕上げます。

メンテナンスサイクルが非常に長く再塗装は不要、素材そのものが丈夫なので、外観を美しく保ち続けたい方におすすめです。近年は耐震性を考慮し、軽量化された瓦も多く出回っています。

・注意点
施工に手間が掛かるため、初期費用は高めです。軽量化が進んではいるものの、スレート瓦に比べれば重量があるため、新築の場合は設計の段階で瓦屋根を想定する必要があります。台風や地震による衝撃で瓦が破損することがあり、落下による二次被害には注意が必要です。強風対策や耐震性を高めたい方には向きません。

・価格、耐用年数の目安
瓦屋根の価格は7,000~12,000円/㎡が目安です。施工後は下葺材と棟部の漆喰の定期点検が必要です。陶器瓦の耐用年数は50~60年ですが、衝撃などにより破損した場合は1枚単位で交換可能です。

セメント瓦(プレスセメント瓦・コンクリート瓦)

セメント瓦は別名プレスセメント瓦、コンクリート瓦とも呼ばれる、セメントと川砂を混ぜ合わせて作った屋根瓦です。過去には日本モニエル株式会社が圧倒的シェアを誇っていたため、「モニエル瓦」と呼ぶ業者もあります(現在は生産を終了)。

先に紹介した陶器瓦より安価で、瓦の重厚なデザインを取り入れられるので1970~1980年代には多く採用されていました。現在は低価格で耐久性の高い屋根材が開発されたため、新築に使われるケースはほとんどありません。セメントは燃えにくいため耐火性に優れ、加工が容易なので形状やカラータイプのバリエーションが豊富です。

・注意点
陶器瓦とは異なり定期的な塗装メンテナンスが必要です。また、衝撃に弱いため、台風や地震の後は破損箇所がないか目視でチェックしてください。万一ひび割れていた場合は、雨漏りや落下による二次被害を防ぐため、早めに補修の手配が必要です。セメント瓦は既に生産が終了しているため、在庫がない場合は施工業者と修理内容の協議が必要です。

・価格、耐用年数の目安
セメント瓦の価格は6,000~8,000円/㎡が目安です。耐用年数は30~40年で、塗膜の剥がれや色褪せ、コケやカビの発生に備え10年スパンで塗り替えが必要です。再塗装の工事費用は2,000〜3,000円 / ㎡、陶器瓦と同様に、下葺材や棟部の漆喰部分の定期点検は随時行ってください。凹凸があるため、リフォームではカバー工法は不向きです。

ガルバリウム鋼板(金属板)

ガルバリウム鋼板はアルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%で構成され、表面をメッキ加工した鋼板素材です。金属製の屋根といえば昔はトタン屋根が主流でしたが、最近はガルバリウム鋼板を使った屋根が金属屋根のシェアトップに君臨しています。

アルミニウムが持つ耐食性と亜鉛の防食作用により、金属の中でも特にサビにくく、防水性も備えているコストパフォーマンスが高い素材です。非常に軽量なので躯体への負担が少なく、耐震性に優れています。

近年はスレート屋根からガルバリウム鋼板にカバー工法を用いてリフォームするお宅が増えました。施工方法には、縦葺きと横葺きがあります。縦葺きは緩い傾斜にも対応できるため、屋根が平面に近いモダンな外観デザインによく採用されています。

・注意点
耐食性に優れているとはいえ、永久に錆びることがない素材ではありません。メーカーは1年に1度の水洗い、5年に1度の点検、10年毎に再塗装などのメンテナンスを推奨しています。金属は環境により耐久性が大幅に変わるので、積雪や塩害のある地域、木々が接していて湿気の多い立地、台風の飛来物によるキズなどで腐食が進行しやすくなるケースがあります。

また、断熱性が低いので、下地材や塗装コーティングにおいて対策が必要です。薄いため遮音性が低く、雨音が響きやすいでしょう。素材の加工自体は容易ですが、スレート屋根に比べ施工できる職人の数が少なく、相対的に施工価格はアップします。

・価格、耐用年数の目安
ガルバリウム鋼板の価格は6,000~9,000円/㎡で、再塗装の費用目安は6,000~8,500円です。耐用年数は25~30年ですが、メンテナンスは5年単位で点検し、色褪せやヘコミ・キズが発生したタイミングで塗装などの補修が必要です。

ジンカリウム鋼板

ジンカリウム鋼板は、ガルバリウム鋼板と同じ素材でできています。国産か輸入品かで使い分けたり、商標登録している会社によって名称が変わったりします。さらに、ガルバリウム鋼板に石粒(ストーンチップ)をコーティングした屋根を「ジンカリウム鋼板」と呼ぶケースもあります。本記事では、ガルバリウム鋼板に石粒コーティングを施した「石粒付き鋼板=ジンカリウム鋼板」として解説します。

陶器瓦の釉薬と同じように、石粒を吹き付け、その後焼き付けてコーティングします。高温で焼かれガラス質に変化するため塗装の必要がなく、金属でも塩害に強いのが特徴です。

さらに、ガルバリウムは熱を伝えやすいため断熱性能が劣りますが、ジンカリウム鋼板は石粒が熱や音を遮断するため、断熱性・防音性に優れています。石粒でコーディングされていてもジンガリウム鋼板は軽量で、耐震性があります。

・注意点
国内生産が安定しておらず、輸入品で対応するケースが多いでしょう。価格はやや割高です。施工直後はコーティングの石粒がポロポロと剥がれますが、一定期間経過すれば落ち着きます。ガルバリウム鋼板と比較すれば断熱性能に優れていますが、断熱材と一体化したガルバリウム鋼板に比べると断熱性は劣ります。

・価格、耐用年数の目安
ジンカリウム鋼板の価格は8,500~15,000円/㎡で、リフォームのカバー工法に向いている屋根材です。耐用年数は30~50年です。メーカーの中には30年保証の商品もあり、基本的にメンテナンス不要です。色褪せやヘコミ・キズが発生したら随時補修で対応します。

トタン

鉄板を亜鉛メッキでコーティングしたもので、1955~1973年の高度経済成長期の間に屋根材として採用されていました。材料費と施工費は安価で、軽量なため建物への負担が少なく耐震性に優れています。
継ぎ目が少ないため積雪や雨漏りに強く、現在は工場や倉庫に使われるケースが多くなりました。一般住宅ではガルバリウム鋼板など高機能な金属屋根に移行しています。初期費用を安く済ませたい方、工期を短くしたい方にはおすすめできます。

・注意点
安価な分、全体的な性能は低い屋根材です。サビ、色褪せ、チョーキング、塗膜の剥離・膨張などのリスクが高いため、5年を目安に再塗装します。また、熱を通しやすい素材のため、夏場は表面温度が70度を超えることもあります。夏は暑く冬は寒くなるので、冷暖房費はアップするでしょう。また、雨音が響きやすく、音が気になる方にはおすすめできません。

・価格、耐用年数の目安
トタンの価格は4,500円~/㎡が目安で、耐用年数は10~20年です。トタンは止め付けしている下地の老朽化も懸念されるため、リフォームは葺き替えが基本です。一度屋根材を撤去し、ガルバリウム鋼板など高性能な屋根材への変更をおすすめします。

アスファルトシングル

ガラス繊維のグラスファイバーにアスファルトを塗装し、表面に石粒を吹き付けたシート状の屋根材です。デザイン性に優れていて、北米やカナダでは80%以上のシェアを占めています。日本では2007年の建築基準法改正後に認可が下り、使用されるようになりました。

耐久性に優れ、メンテナンスサイクルも長めです。厚さは約6mmと軽量で、柔軟性が高いため複雑な形状の屋根でも施工できます。表面の石粒は緩衝材になるため、防水性・防音性に優れています。

・注意点
日本ではまだ普及していないため、施工ができる業者の数は多くありません。再塗装の際にムラができやすいので、知識や技術が求められます。また、屋根の勾配が足りないと水分が滞留しやすく、庭木や風通しが悪い立地だとコケや藻が発生するリスクがあります。

・価格、耐用年数の目安
アスファルトシングルの価格目安は3,500~16,000円、耐用年数は20~30年です。メーカーによっては30年メンテナンスフリーを謳っている商品もありますが、環境によりコンディションは変わるので、10~15年で再塗装を検討してみましょう。

銅板

色は緑青で、重厚感のある屋根材です。日本では古来、神社仏閣などで使われてきました。和風建築にマッチする質感なので、洋風の戸建住宅が増えた昨今、シェアは減っています。趣のある純和風住宅に興味のある方にはおすすめできます。

銅板の寿命は60年以上で、年月が経過するにつれ緑青が生じて耐久性がアップし、素材自体が軽量なので耐震性も優れています。柔軟性がありカーブを描く屋根にも対応できます。

・注意点
銅は大仏など特殊建築に使われる素材なので、価格は高額です。さらに、工事に対応できる業者はとても少ないため、施工費もアップします。柔軟性が高いため衝撃には強いことが特徴ですが、部分的にヘコミが生じる可能性があります。

・価格、耐用年数の目安
銅板の価格は18,000~20,000円/㎡で、耐用年数は60年以上です。基本的にメンテナンスフリーで、ヘコミなどが生じた場合、都度補修で対応します。

ステンレス

ステンレスとは、鉄が主成分のクロムやニッケルを含んだ合金です。水をよく使うキッチンに採用されている、お馴染みの素材です。軽量でサビに強く、ガルバリウム鋼板より耐久性に優れています。熟練の加工技術が必要になるので、施工単価は高めです。

断熱性と防音性は低いので、下地材などで対策が必要になります。塩害の多い地域や、高コストであっても耐久性を最重視したい方におすすめです。

・注意点
とてもサビに強い素材ですが、接している他の金属から移る「もらい錆」などが生じることもあり、絶対に腐食しないわけではありません。紫外線や経年劣化によって色褪せは生じます。

・価格、耐用年数の目安
ステンレス屋根材の価格は10,000~14,000円 / ㎡で、耐用年数は50年です。表面は塗装されているので、色褪せが気になる場合は10~15年スパンで再塗装してください。

 

種類だけでなく形状も要チェック

住宅の屋根の形状は大まかに10種、細かく分類すると100種類にものぼると言われています。重視するポイントは、環境に合った形状選びとメンテナンスのしやすさです。積雪が多い地域や土地の斜線規制、高さ制限に対応できる屋根を選びましょう。代表的な8タイプについて、特徴を解説します。

代表的な形状は8タイプ

・切妻屋根
三角屋根とも呼ばれる最もベーシックな形状で、2方向に傾斜している屋根です。雨水が流されやすく、和風・洋風どちらにも対応します。

・寄棟屋根
4方向に傾斜しているため、風雨や紫外線のダメージを分散できます。棟が多いので、雨漏りのリスクは上がります。

・片流れ屋根
棟から1方向に傾斜した近年よく見られるデザインの屋根です。妻側の外壁が紫外線や風雨にさらされるため、立地によっては外壁の劣化が早まります。

・方形(ほうぎょう)屋根
家の中心を頂点に、4方向に傾斜している屋根です。4面で雨風を分散するため耐風性に優れていますが、棟が多いので雨漏りのリスクは上がります。

・入母屋屋根
瓦屋根に用いられる和風住宅に適した形状です。屋根裏の通気性が高く、断熱性に優れています。施工に手間が掛かるため、施工費用はアップします。

・招き屋根
別名「差しかけ屋根」とも言われ、2面の屋根が段違いで設置されています。風雨を分散させるため耐風性に優れ、住宅の通気性や断熱性を確保しやすい形状です。

・はかま腰屋根
切妻屋根の棟を平面にカットしたような屋根で、道路斜線制限や高さ制限に収めるために採用されます。間取りは確保できますが、棟が増えるので雨漏りのリスクはアップします。

・陸屋根
マンションなど鉄骨造の建物によく採用される、傾斜のない平面状の屋根です。落雷対策は必要なく、屋根スペースを有効に使える点がメリットです。風雨や紫外線を分散できないため、メンテナンスの頻度は高くなります。

日本の戸建てに多い木造住宅に用いられる9種類の屋根材と、代表的な8種類の屋根の形状を紹介しました。特徴、価格相場、耐用年数、メンテナンスサイクルなどはそれぞれ異なるため、メリット、デメリットをよく把握したうえで最終決定することが重要です。

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