リフォーム産業新聞社  編集長 金子裕介さん-業界の賢者に聞くvol.1-

2020.05.20 15:35

リフォーム産業新聞社 編集長 金子裕介様

【プロフィール】

◎かねこ・ゆうすけ◎

リフォーム業界の専門メディア「リフォーム産業新聞」編集長。

10年以上にわたりリフォーム業界を取材。

地域のリフォーム店から大手ハウスメーカー、有力リフォーム店まで様々な企業の動向をリポートしている。

リフォーム市場をデータで分析する「住宅リフォーム市場データブック」など書籍の発行も手掛ける。

 

平成から令和へ。リフォーム業界の動向を振り返る

――はじめに、この10年の振り返りからお願いします。リフォーム業界に起きた変化のなかでも特に印象的なトピックスを挙げていただけますでしょうか。

10年前と今とでは、リフォーム業界の状況は大きく異なっています。象徴的なのが異業種の参入です。例えば、家電量販店はリフォームを積極的に手がけるようになりました。水まわりの改装や床・壁のリフォームだけでなく、塗装も行う企業もあります。家電店が塗装、これは10年前には考えられないことでした。一昔前は、リフォームをお願いする先といえば、地元に密着して経営しているリフォーム会社か家を建ててもらった工務店のどちらかでした。それが今や、家電量販店に行って「外壁の塗り替えをお願いします」という選択肢もあるわけです。異業種参入は、近年で最も大きな変化といえるでしょう。

――なぜ、家電量販店がリフォーム業界に参入するようになったのでしょうか。

理由はいくつか考えられます。地デジ化以後の主力商品を探していたこと、家電と住まいは切り離せない密接な関係にあることなど、いろいろありますが、シンプルに考えれば、最大の理由はやはり、「リフォーム事業はもうかりそう」と考えたからでしょうね。家電量販店は、店舗は違えど売っている製品はほぼ同じです。差別化が難しく、価格やポイントで勝負するしかありません。一方、リフォームなら話は別です。他社との差別化が打ち出しやすく、しかも、キッチンのリフォームを請け負えば1回当たり50万円以上の売り上げをたたき出せます。一度に動く金額が大きいリフォームは、異業種から見ると非常に魅力的な事業なのです。

そのうえ、「リフォームといったら〇〇会社」といわれるような知名度の高い企業が、この業界にはそれほど多くありません。さらに残念なことには、リフォーム業界への根強い不信感が世間にはあります。対して大手家電量販店などは、確固たるブランド力がありますから、この点は非常に有利です。リフォームを検討する消費者の多くは、「地元の知らないリフォーム会社より、全国展開している家電量販店のほうが信頼できそう」と考えるでしょう。

実際、九州地方のとある塗装会社に競合がどこかを聞いたところ、家電量販店2社だとおっしゃっていました。リフォーム会社の選択肢が増えるのは、消費者にしてみればありがたい話です。しかし、地元でコツコツと実績を積み上げてきたリフォーム会社や塗装会社にとっては大きな脅威です。いずれにしても、異業種参入は今後も増えると考えられます。どうでしょう、例えば街のコンビニがリフォームの窓口をやり始めることは絶対にありえないでしょうか、誰が参入を表明しても不思議ではありません。

――異業種参入のほかにも何か印象的な出来事はありますか?

中古住宅の流通です。国内には6000万戸を超える家があるわけで、世帯数を大きく上回っています。また、800万戸の空き家もあるわけで、住宅の数は十分に足りている。にもかかわらず、新築が立ち続けるわけです。

それは良くないということで、国は中古住宅の流通活性化に取り組んで来ているわけです。ただ、中古住宅は「誰が住んだのかわからない古い家」であり、積極的に買う人はあまりいません。それを、リフォーム、リノベーションして買ってもらうというビジネスが今大ブームになっています。中古を買って、リノベして、住む、というニーズに対応する専門店は急増しています。

10年以上前であれば、リフォーム会社のターゲットはご年配の方。老朽化した自宅を修繕する仕事がメインでした。今は違います。30代、40代の若い方で中古マンションを購入する人をターゲットに商売をして稼いでいる業者も数多く出てきました。これからは新築よりも中古という時代が来ます。

――中古住宅のリフォーム需要は今後も続きますか?

今後も拡大すると考えられます。実際、都心では中古マンションが人気です。かつて「家を買う」といったら、戸建てにせよマンションにせよ新築一択でした。それが逆転しつつあるのです。なぜ、このような逆転現象が起きているのか。理由は、新築は高くて買えないという層が増えてきています。昨今のコロナの影響で景気も悪化していますがより一層中古住宅の購入が増えていくと思います。

画一的でチープになりがちな新築物件と比べて、リノベではより豪華、ハイセンスな内装に変えることも自在にできますから、「新築じゃなくても中古マンションで十分だよね」と考える人が増えるのは当然ではないでしょうか。DIYが得意なタレントさんが中古住宅をリフォームするテレビ番組も人気です。中古住宅を買ってリフォームして住むという消費トレンドは、これからもしばらく続くでしょう。

――リフォーム市場が拡大するなかで、どんなサービスが求められるでしょうか。

一つは、物件購入からリフォームまでワンストップで請け負うサービスではないでしょうか。従来は、不動産屋が請け負うのは物件探しと販売だけ。消費者は自分たちでリフォーム会社を探す必要がありました。けれど近年、「物件も探します。リフォームもします」という不動産屋が増えています。これは消費者にとってはありがたいサービスであり、今後も伸びが予想されます。また、古い戸建ての空き家を買い取り、リフォームして再販する会社も増えてきていて、業績も好調です。

塗装会社が中古住宅の仲介業を始めたケースも出てきています。物件を販売して、ついでに外装リフォームもいただく、こんなワンストップモデルがビジネスチャンスとなるでしょう。

 

人手不足をどう解消するか? カギは働き方改革とIT化にあり!

――働き方改革が注目されていますが、リフォーム業界はいかがでしょうか。

ここまで異業種参入や中古住宅のリフォームについてお話ししましたが、働き方改革も押さえておきたいトピックスです。リフォーム業界における働き方改革とは、つまるところは、残業時間の削減です。ご存じのとおり、リフォーム業界というのは非常に残業が多い業界です。営業スタッフであれば、日中は営業活動をして17時あるいは18時にようやく帰社。そこから見積りやら提案書やらを作成し、途中でお客様から電話がかかってきたりして、気がつけば21時くらいになっている……というケースが多いのではないでしょうか。そのうえ、仕事柄、土日祝日も仕事が入ったりします。体力的にきつくて辞めてしまう人も少なくありません。

経営者の本音としては、残業時間は減らしたくないんです。労働時間の減少は、売り上げダウンに直結しますから。けれども、労働人口が減っている今、辞められて人手が不足するほうがいっそう困る。「労働時間を減らして売り上げを上げるにはどうしたらいいか?」と、多くの経営者が頭を抱えています。

――労働時間を減らして売り上げを上げるには、結局は「生産性を高める」ということになると思うのですが。

そういうことになります。では、生産性を上げるにはどうしたらいいか。リフォーム業界でもさまざまな取り組みが行われています。たとえば、20時になったらオフィスの電気を消灯するようにして、時間に対する意識を高めてもらう会社もありますし、大型リフォームは極力分業して、1人に重たい仕事を持たせないという会社もあります。

こんな面白い取り組みをしている会社もあります。そこでは、営業スタッフが車で移動する際は、運転をパートさんにお任せしているのです。その会社の経営者いわく、車を運転している時間は「資料も作れない、何も生まない無駄な時間」です。だから、運転はパートさんにお任せして、営業スタッフはその隣でお客様対応をしたり、資料を作ったりするのだと言っていました。移動時間に仕事を進められれば、残業時間の削減につながります。これからの経営者に求められるのは、こうした柔軟な発想かもしれません。

また、生産性を上げるにはIT化も欠かせません。私の父もエクステリアの職人なのですが、現場の住所や工事の詳細はファックスで受け取っていました。最近は住所も工程表もスマホで確認できる会社が増えています。住所がスマホに届いたら地図アプリを起動して、それをカーナビにして現場に到着する。工程表はクラウドにアップされていて、スマホがあればどこからでもアクセスできる。そういう時代に突入しているのです。

あるリフォーム会社は、職人さんにiPadを無料で配布していました。専用アプリがあらかじめインストールされていて、工程表や資料が見られるようになっています。また、作業が終わったら、職人は現場の写真を内蔵カメラで撮って、営業スタッフに送って確認してもらいます。こうすれば、営業は現場に出向かずにすみ、時間を節約できるというわけです。これはほんの一例ですが、施工管理アプリはどんどん出てきていますし、活用する会社も増えています。IT化なくしては、生産性の向上は望めないといえるでしょう。

――労働人口の減少にともない、職人不足に悩んでいる会社も少なくありません。

これまでは、職人を探そうと思ったら、職人に知り合いを紹介してもらうのが一般的でした。けれど、人手不足の昨今、このやり方は限界になりつつあります。以前、取材にうかがったあるリフォーム会社も、職人不足に悩んでいました。「職人さんを雇用したらいいのでは?」といったところ、「職人さんの手間賃が非常に高くなっていて、腕のいい職人さんになると年収1000万稼いでいる人もいるんです。とてもじゃないけれど、そんな給料は払えませんよ」という答えが返ってきました。同じようなジレンマを抱えている会社も多いのではいなでしょうか。

社員として雇用するのも、手間賃をアップするのも難しい。そこで、ある会社は締め日を月1回から2回に増やし、20日と月末の月2回支払うシステムにしたそうです。そんな風に待遇を改善して職人さん確保しているところもあります。このほか、建設業界では、職人のマッチングサイトが登場しています。現場の場所や作業内容、金額などがネット上で公開されていて、気に入った案件に応募してもらうというものです。

長らく、リフォーム会社は「職人を選ぶ」立場であり、職人は「選んでもらう」立場でした。けれど、現場は増えているのに職人が減っている今、構図が逆転しつつあります。職人がリフォーム会社を選ぶ時代になっているのです。職人をどう確保するかは、今後も大きな課題となるでしょう。

 

WEBでの集客はまだまだ。「以前頼んだ業者に頼む」が半数超

――IT化が進むなか、WEB集客で成功しているリフォーム会社の事例はありますか?

「製品ありき」のリフォームであれば、成功事例はあります。代表例が給湯器です。「給湯器 激安」で検索すると、ものすごい数のサイトがヒットします。あるサイトでは、給湯器と交換工事代込みで4万円から。一方、ガス会社に依頼したらもっと高いですよね。これまでは、給湯器が壊れたらガス会社に交換をお願いするのが一般的でしたが、インターネットが普及した今、既存の業者とネットの業者の比較が始まっていて、中にはネット業者は既存のプレーヤーから需要を奪っている会社もあります。

あるネット業者では、今使っている給湯器の写真をスマホで撮って型番とともにメールで送れば、おすすめの給湯器を教えてもらえます。給湯器の購入から工事の発注までネットで完結してしまう。そのうえ、ガス会社に依頼するよりもずっと安い。消費者が飛びつくのも無理はありません。リフォームとはちょっと違うかもしれませんが、カーポートでも同じようなビジネスモデルが流行しています。「製品ありき」「設備ありき」のリフォームは、インターネットビジネスに向いているといえるでしょう。

しかしながら、上記はごく一部の限られた事例にすぎません。WEB集客に成功しているリフォーム業者は現時点では「少ない」といっていいでしょう。リフォーム依頼先をどのように決めたのかを聞いたアンケート調査では、「1回頼んだことがある会社に頼んだ」という回答が5割程度ありました。「知人の紹介」という回答も多く見られました。

WEB集客がなかなか伸びない背景には、リフォーム業界全体に対する不安があります。一部の悪徳業者が起こした不祥事の記憶が根強く残っていて、リフォーム業界にあまりいい印象を抱いていない消費者は少なくありません。そもそもリフォームは安い買い物ではありませんから、消費者はどうしても慎重になります。そんななか、インターネットやチラシで見た会社に頼むのは非常にハードルが高い。もちろん、参考にはするし相見積もりも取りますが、最終的には「以前お願いした会社でいいか」となりがちなのです。

――消費者の不安はどうしたら払拭できるでしょうか。

WEB集客の成功事例があまりないからといって、「自社のホームページはなくてもいい」といっているわけではありません。契約に至らなくても、消費者の多くは、リフォーム会社を選ぶ際にはインターネットで情報を収集しています。今どきの消費者にとって、「ホームページがない会社」=「怪しい会社」です。「チラシを見て気になったからネットで調べた」という消費者も多いので、チラシと自社ホームページはセットと考えるべきでしょう。

また、せっかくホームページを閲覧してくれた消費者がそこから引き返してしまわないように、消費者の不安を払拭する仕掛けが必要です。さまざまな方法があるかと思いますが、その地域での実績を打ち出すのは大変有効だと思います。マンションリフォームを得意としているある会社は、施工事例を写真付きでホームページで紹介しています。事例紹介自体は珍しい手法ではありません。ユニークなのは、そのマンションの写真をクリックすると、「おかげさまで××××世帯中〇〇〇世帯をリフォームしました。ありがとうございます」と表示される点です。具体的な数字が示されれば興味を惹かれますし、「これだけの数の人がお願いしているのなら安心できそう。まずは見積りを取ってみよう」となりますよね。

ちなみにこの会社は、そのマンションに毎週1回、チラシを配布しているそうです。「しつこいなあ」と反感を持つ人もいるでしょうが、定期的にまいていれば、消費者がリフォームを検討する際に、「そういえば、いつもチラシが入っているリフォーム会社があったな」と思い出してもらうチャンスが増えます。仮に思い出してもらえなかったとしても、翌週にはチラシが届きますから、「問い合わせしてみようかな」とお客様の行動喚起を促すきっけになります。

また最近は、インスタグラムを活用するリフォーム会社も登場しています。リフォーム事例を掲載して、得意なスタイルをPRするのです。どこまで集客につながるのかは未知数ながら、ダイレクトメッセージで相談が寄せられて、そのまま契約にこぎ着けるケースもあるとのこと。今はまだ即契約とはならなくても、インターネットやソーシャルメディアを活用しない手はありません。

 

「勝つ会社」「負ける会社」の違いはどこにある?

――これからのリフォーム業界を生き抜くために必要な条件とは何でしょうか。

リフォーム業界を10年以上見てきましたが、つぶれないリフォーム会社にはある共通点があります。それは「地域密着」の経営を徹底していることです。これは今後10年も変わらないのではないでしょうか。

すでにお話ししたように、リフォーム業界では異業種参入が相次いでいます。大手の家電量販店や家具チェーン店と価格勝負するのは、正直、難しいでしょう。消費者が相見積もりを取ったら、かなりの確率で相手のほうが安い費用を提示してくるはずです。先方の見積もりが自分たちの出したそれよりも安かったとき、差額分を上回る価値を提案できるかどうか。ここが勝負の分かれ目です。電話があったら1時間以内に駆けつける。毎月1回手紙を送ってどこか不具合がないか問い合わせる。メンテナンスを1年に1回行い、それを50年続ける。方法はいろいろと考えられます。どのような戦略を立てるにしても、価格では計れない価値を提供することができれば、「価格だけでいったら他社のほうが安いけれど、おたくにリフォームをお願いします」といってくれるお客様が必ず現れるはずです。

――地域密着を謳いつつも、経営が立ち行かなくなる会社もあります。成功する会社とは何が違うのでしょうか。

「地域密着」を謳うリフォーム会社は珍しくありません。実際、多くの経営者が「うちは地域密着なんですよ」といいます。これはあくまでも私個人の見解ですが、自社の商圏の消費者に名前を覚えてもらえていないようでは、地域密着できているとはいえないと思うのです。「あなたの住む地域でリフォーム会社といえばどこですか?」「〇〇会社です」と思い出してもらえるようになってようやく、「地域密着している」といえるのではないでしょうか。

では、消費者に名前を覚えてもらうにはどうしたらいいか。地域密着で成功しているリフォーム会社は、「どのエリアの誰に対してサービスを提供するのか」という部分がとても明確で、限られたターゲットに最高のサービスを提供しています。先ほどのマンションリフォームを得意とする会社は、その好例といえるでしょう。地元のマンションに対象を絞って実績を積み重ねることで、自社の商圏内での知名度を高めているわけです。

都内のある小さなリフォーム会社は、「うちは地域の9050棟の家だけを対象としています。そして、9050棟のご家庭に毎月手紙やニュースレターを送っています」とおっしゃっていました。9051棟目はその会社のお客様ではない、ということです。この会社は年間数億の売り上げを出しています。さらに、その会社のブランドがあまりに強いので、同業他社がその地域にチラシをまかなくなったそうです。

もちろん、地域を限定せずに広く営業をかける方法もあるでしょう。ただ、私が知る限りでは、広範囲にチラシを大量にまき商圏を広げるスタイルで成功した会社は多くありません。一時的に売り上げがアップしても、長く続かない事例がほとんどです。

――地域密着を徹底していれば、必ず成功できると考えてよいでしょうか。

地域密着だけでは十分とはいえません。成功しているリフォーム会社は、1回つかんだ顧客を離さないようさまざまな工夫をしています。先ほど述べたように、過去にリフォームを頼んだことがある消費者の多くが、2度目以降も以前頼んだ会社でリフォームをしています。つまり、1度受注できれば、その後もくり返しリフォームを依頼してもらえる可能性が高いのです。トイレのリフォームをしたら給湯器の交換、その次はキッチン、5年後に外壁……という具合に、長くお付き合いできる関係を築くことが、成功への布石となります。

ある調査によると、新築を買ってから30年間住み続けた場合にかかるリフォーム費用は500万円ほどだそうです。建材も設備も、ひと昔前に比べれば性能は格段に向上していますが、それでも、耐久年数が50年、100年というものはまだありません。どの建材も設備もいつかは必ず不具合が出ます。これはつまり、1人の顧客にリピートしてもらえれば、それだけで500万円の売り上げが見込めるということになります。

リピートしてもらうためには、こまめなコンタクトが欠かせません。毎月ニュースレターを送る会社もあれば、お施主様の誕生日に花を贈る会社もあります。定期的にイベントを開催して既存客を招待している会社や、営業スタッフが担当顧客に月に一度、自筆の手紙を送っている会社もあります。このように顧客にとことん密着するやり方は、全国展開している会社にはまず真似できません。異業種参入組に勝って生き残るには、地域密着、顧客密着するしかない。これが、私が10年以上リフォーム業界を取材してきてたどり着いた結論です。全国展開している家電量販店も家具チェーン店も、「いつもお願いしているあのリフォーム会社さん」には太刀打ちできないのです。

令和の時代にさらに飛躍するには、時代に合わせたリフォーム経営をすることも大切です。たとえば、若い世代の間では、マイホームは「新築を買う・建てる」ものではなく、「中古住宅を買ってリフォームする」が常識となりつつあります。そのニーズにきちんと気づいて、それをビジネスとして、サービスとして提供することが求められているのです。

同時に、50代、60代の人たちがリフォームに何を求めているのかも、しっかりと見極めなくてはいけません。50代、60代でリフォームと聞くと、すぐに「老後に備えた介護リフォーム」を思い浮かべがちですが、本当にそうでしょうか。今の50代、60代は元気で若々しい人が非常に多い。いわゆるアクティブシニア、スマートシニアと呼ばれる人たちは、手すりや段差をなくすといった「いかにも介護」なリフォームは求めていません。それ以上に「リタイヤ後の生活をより豊かに充実させたい」と願っています。このニーズを組んだリフォームプランを提案することができたら、それは大きな強みになります。お客様が「時間があるから小説でも書こうかな」と思っているのなら書斎スペースを、映画が好きならシアタールームを、車好きなら愛車が見える部屋を作る……。やり方はいろいろあるはずです。

もちろん、日本はこれから高齢化が進む一方ですから、「リフォームで、老後を安心安全に暮らせる家にしたい」という需要も確実にあります。そこで、あるリフォーム会社は福祉機器のレンタル事業をはじめたそうです。福祉機器の貸し出しができて、さらに取り付けもできるのであれば、競合他社との差別化を図れます。地域に根づいて顧客に密着する。時代に合わせたサービスを展開する。この2点を実践できれば、知名度や資本力で勝る大手が現れても、自分たちの商圏にはなかなか入り込めないはずです。

――異業種参入組に対して価格で勝つのはやはり難しいでしょうか。

企業としての体力が違いますから、価格勝負を仕掛けるのは簡単ではないでしょう。ただ、値段で真っ向勝負をしているリフォーム会社もあります。その会社の商圏では某家電量販店が強く、消費者も問い合わせの際は必ず「某家電量販店ではキッチン本体が18万円といっているけど、おたくではいくらでいける?」と聞いてくるそうです。そこで、その会社は家電量販店よりも安い16万円で見積もりを出しているとのこと。

「家電量販店よりも安い費用で請け負って、どのように利益を出しているのだろう」と不思議に思いますよね。私も疑問に思って尋ねたところ、「いろいろと考えて、最もコストダウンできるのは職人さんの手間賃だと思いました。だから、手間賃を削減しています」というのです。もちろん、ただ手間賃を安くするだけでは職人さんも引き受けてはくれません。その会社は、1件あたりの手間賃を安くした分、発注件数を多くして、トータルでは職人さんの稼ぎが多くなるよう工夫することで、職人さんに納得してもらっているという話でした。このように、きちんとした戦略があれば価格競争するのもアリではないでしょうか。

外壁塗装にしても同じことがいえます。値段で他社と違いを打ち出してもいいし、長期間のアフターメンテナンスを保証して「初期費用は他社より高いけれど、トータルコストで見ると我が社のほうが安いですよ」とアピールしてもいい。三和ペイントさんのように、塗料そのもので差別化を図る方法もあるでしょう。いずれにしても、普通に商売をしていたら生き残れません。何かしらの強み・違いを上手に作っていくことが肝心です。

――ありがとうございました。

クレジット
写真/森本真哉 文/小川裕子 企画・構成/岡部藤祐

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